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妊娠中の高3生徒に体育の実技要求。詳細を調べてみた。

6月15日に興味深いニュースがあった。昨年の話だそうですが、京都府立朱雀高校で「妊娠中(7ヶ月)の高3の生徒に実技要求」という記事を見かけた。妊娠中の生徒に実技を要求することには確かに問題があると思うが、それ以前の事が問題になっていないことが非常に気にかかるので調べてみた。

 

学校側は高3生徒に休学を勧めていた

ニュースのタイトルが「妊娠の女子生徒に体育実技要求、京都の府立高校」だったのでひどい問題だと思ったが、別に高3の生徒に実技を強要していたわけではなかった。

高3の生徒は昨年8月頃に妊娠が発覚。産むことを決意し、高3なので友達と一緒に卒業したいということで学校に通っていたそうです。先生も理解は示しており、担任も廊下ですれ違うと体調を気遣ってくれていた。

クリスマスに4者面談があり、それぞれの意見はこうだった。

教頭は「今は学業ではなく赤ちゃんを考えるべき」と休学を勧めた。

担任は「卒業させてあげたい気持ちと安全に産むことを優先してもしい気持ちと半々。何かあったときに後悔しても後戻りできない」

高3生徒「友達と一緒に卒業したい」

母「娘の気持ちを尊重したい。責任はこちらで取ります」

そして休学届が届く。母は「妊娠しただけで犯罪とか悪いことをしたわけじゃないのに。世間を敵に回しても、自分だけでも娘を応援したい」と思ったそうだ。しかし、卒業するには問題があった。生徒が体調不良のために2学期の体育は見学が多く、成績が「1」だった為だ。高3なので卒業するには3月までに補修が必要で「体育の補修は実技」ということで学校側から「よく考えてください」と念を押されたそうです。

学校の言い分は産経新聞が取材を行っています。

同校では、病気やけがの場合は「特別な事情」として配慮するが、「全日制では生徒の妊娠を想定しておらず、妊娠を特別な事情とは考えていない」と説明している。

一方、学校側は取材に対し「母体のことを考慮すれば、ハードな実習だけを課すことは考えていなかった」としており、「生徒側との話し合いのなかで、実技の補習を座学などで代用することも視野に入れていたとした」と釈明したが、そのことについては女子生徒側には伝えていなかったという。

http://www.sankei.com/west/news/160615/wst1606150040-n1.html

妊娠中の実技、あと2,3ヶ月で出産予定なので危険極まりないことです。何かあったらそれこそ学校側に責任があり非難されることになるわけなので、教頭が休学を勧めるのは当たり前の流れである。さらに「実技の補修を座学などで代用することも視野に入れていた」のであれば学校側に落ち度はない。

では何故実技の補修を代用することが生徒に伝わらなかったのか?高3生徒は体育の実技の補修を受けた先輩の話を思い出して「無理だ」と思ったようです。もちろんその先輩は妊娠していません。もう少し先生とよく話し合っていれば何とかなったのかもしれませんね。

結局この生徒は1月から休学を受け入れ4月に出産している。高3だしみんなと一緒に卒業したいという気持ちもわかりますが、出産はそれ以上に大事なのことです。そして一番は無事出産できて何よりです。

この件で個人的に気になったのは母親。母親の「応援したい」気持ちはわかるしそういう気持ちはとてもいいことだと思う。しかし「妊娠しただけで犯罪とか悪いことをしたわけじゃないのに」「責任はこちらでとる」と話しているがそれは大きな問題ではないのだろうか。学校というのは学業や社会のルールの基礎を学ぶところである。学校が卒業するために必要なことを明確にしているのだからそのルールを理解させ、母親なら子供や孫の身体の事、そして今後の事も見据えて出産に備えるよう諭すべきではないか。

なおこの件については穏やかに話し合われており、ニュースになること自体が不思議なくらいの内容でした。詳細を報道しないニュースの内容に疑問を感じました。

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